昆虫食研究は非常に多岐に渡ります.

栄養価や生産性に関するものだけではありません.

以下,我々が昆虫食について明らかにしようとしていることを簡単にご紹介します.

 

1.昆虫食文化について

日本国内において昆虫食慣行は、中部・関東・東北地方を中心として文化、社会的に一定の役割を担っています.

個人もしくは家庭単位で昆虫を採集、調理、消費する実態を把握するだけでなく、学校教育や地域振興などより発展した現象にも注目します。

研究方法はフィールドワークが主体で、収集した生のデータからこれらの役割を明らかにした上で、昆虫食文化の意義と今後の展望を考察していきます。

 

2.昆虫食の経済性

東南アジアでは現在でも非常に活発な昆虫食活動がなされ,経済的にも重要な地位を占めています.

我々はこの点に注目し,フィールドワークを通じて東南アジアにおける昆虫食経済の問題点を探索・分析し,助言することを試みています.

特に食用昆虫の生産技術に注目した研究を行っています.

 

3.昆虫の栄養

近年,昆虫の栄養価への注目が高まっています.

ですが,実際にどの程度の栄養価が含まれているのかはご存知の方は少ないと思います.

我々は昆虫の栄養価や成分に関して文献調査また独自で成分分析を行い,昆虫の栄養価や成分に関する適切な知識を普及することを試みています.

 

4.昆虫の美味しさ

近年,昆虫の味覚への注目が高まっています

ですが,昆虫の調理法に関する研究はまったくの未開と言えます.

日本では佃煮以外のレシピはほとんど開発されていません.

我々はこのような昆虫調理法の未熟さが,昆虫食発展の妨げとなっていると考えています.

昆虫の性質に合った調理法の開発を行い,本当に美味しい昆虫料理を生み出すことを目指します.

また,新しい食用昆虫の選定も常時行っています.

 

5.研究成果の社会への還元

我々の研究成果は学術の世界だけに留まらず,積極的に一般のみなさんに還元していきます.

特に昆虫食の教育的価値について注目しており,昆虫食を通じた教育活動には積極的に参加しています.

また,内山昭一主催の「昆虫料理研究会」の知識的なバックアップを通じて,昆虫食の普及活動にも取り組んでいます.

【研究内容】

昆虫を使った料理の開発(内山、佐伯)

昆虫の養殖技術の開発(佐伯)

昆虫食文化の地理的分布及び価値の検討(高松、平野、吉田)

昆虫の栄養(三橋)

昆虫食によるコミュニケーション手法の開発(メンバー全員、内山、水野)

※カッコ内は主な担当者

【活動の一例】
・サイエンスアゴラ出展(@日本科学未来館)

毎年秋に昆虫食に関わるブース展示、試食体験を行います。2013年度には講演会も行い、サイエンスアゴラ賞を受賞しました。

 

・セミ会

セミの幼虫と成虫を採集し、料理して食べます。昆虫料理研究会と合同でつくば、東京都内で毎年夏に開催され、毎回30名程度の参加者があります。各地域の採集数も計測しています。


・イナゴンピック参加
群馬県中之条町のイベント(http://yamazato.info/taiken/taiken175.html)に参加します。研究テーマとして地域文化としての昆虫食は大変重要であり、地域住民との交流は欠かせません。

・その他、インタビューや記事執筆等、各メンバーが自主的に持ち込む案件をメンバー内で話し合って実施しています。